キジ類のヒナは離巣性(早成性)である。孵化してすぐに巣を離れ、親鳥について歩く。
これに対して、巣の中で親鳥の世話を受けるヒナを留巣性(晩成性)という。
留巣性の種は、巣を安全な場所につくることでヒナを捕食者から護ることができる。
だが、離巣性の種はヒナが歩き回るので、捕食者に対してはその他の方法を
とらなければならない。まず、ヒナについては隠蔽色をしていることが挙げられる。
隠蔽効果をもつ模様は生息環境によって違っていて、小石がごろごろしている河原で
繁殖するチドリ類などは斑点模様をしているし、植物の茂っているところに生息する種は
一般に縦縞模様をしている。こうした模様は、じっとしていることで想像以上の
隠蔽効果を発揮するものだ。キジのヒナの模様は後者で、枯れ葉の間や草の陰で
動かないでいると、どこにいるのか分からない。
親鳥の方には敵の目をそらす行動が発達している。
一つは、敵の周囲を回って注意を引きつけ、敵をヒナから少しずつ
引き離していく行動である。その際、ピーヨ・ピーヨと鳴き声をあげるが、これには以上の
役割と、ヒナに対しては「だまって!」という警告の意味があるようだ。ヒナがピヨピヨ鳴き出すと、
その声は一段と激しくなり、ヒナは再び沈黙する。
二つ目は偽傷、おとりになって、敵の注意をひきつける行動である。
折れていて飛べないかのように、片方の翼をだらりとさげる行動である。さらに、
危険だと感じた時には茂みに入り、何かに捕まったかのように「ヒーヒー」と悲鳴をあげる。
彼女が何かに捕まったと思ってあわてて茂みに飛び込むと、同時にその雌は飛び去り、
その時あたりにはもうヒナの姿を見つけることはできない。
キジの親は身を挺して子を護る。まさに、「焼け野の雉」である。
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