●なるほど!きじコラム2




  ●きじの四季
 春・早春の頃、キジの雄は「ケーン・ケーン」と大きな鳴き声で自分の存在を宣伝し始める。
なわばりを作り始めるのである。その境界をめぐっては、時には数時間もの争いがある。
争いは激しく、跳び蹴りでぶつかりあうこともある。
その後、雄のなわばり争いは次第に減るが、夏までずっと続く。
雌はなわばりを作らず、単独か2〜4羽の小群で日がな1日移動しながら採食している。
若草の頃になると草むらの中にわずかな窪みを作り、周囲の枯れ草、枯れ葉などを敷きつめ
簡単な巣をつくる。そこに毎日1個ずつ、全部で6〜12個の卵を産み、
産み終わったところで24日間の抱卵に入る(巣を離れるときには卵を巣材で覆い隠しておく)
そして一斉に孵化。ヒナは母親と連れ立って巣を離れる。
そして、2週間もすると飛ぶことができるようになる。

 夏・雄はすでになわばりを捨て、この時期に換羽を行う。
あまり目立たないので、ひっそりと暮らしているに違いない。
この頃の幼鳥は雄も雌も成雌と同じような羽色をしていて、
母親とともに移動しながら採食、羽づくろい、砂浴びなどをして暮らす。
食べ物は、昆虫、木や草の葉、実など、種類は豊富である。
成雌は2〜3羽で群れていることもあるが、彼女らはおそらく繁殖に失敗したのだろう。

  秋・すでに成雌と同じくらいの大きさになった幼鳥は、成長の羽に変わっていく。
雄は顔もきつくなり、赤みをおびてくる。だが、まだ体は成羽と幼鳥羽が混じっており、
完全な成羽になるには12月まで待たなければならない。
この頃には成雄も小群を作るようになり、落穂などが集中した食べ物の多い場所には、
雌雄の何群かが集まり、10羽以上も「群れ」ていることもある。
 
冬・キジは留鳥だが、この時期には積雪の多い地方では雪の少ない場所へ
小移動するものもいる。雪の下からは食べ物を採ることができないからである。また、
猟区と禁猟区の接しているところでは、猟区から禁猟区へ避難するものもいるようだ。
今年生まれのキジもすっかり換羽を終え、成鳥になっている。
家族群は解体し、単独か同性の群れになって暮らすようになる。
ただし、群れの個体数は2〜6羽なので、家族群の雄あるいは雌同士はその後も
群れになっていると考えられる。 こうして、再びキジの春がめぐってくる。

東西きじ料理くらべ

養殖コウライキジの肉質は、ブロイラーに比べて水分が少なく締りがよい。
また、そのために生の状態での日持ちはよい。これはより自然に近い屋外飼育での
運動量の多さにもよる。しかも、ブロイラー以外の食肉と比べれば、むしろ柔らかくきめ細かい
肉質というのもコウライキジの特長であろう。加えて、成体がコーチンの3〜5kgなどに比べて
1kg程度と大きくならないので皮が厚くならないのである。
  キジ料理の専門家によると、コウライキジの味覚で特筆すべきは野鳥としてのキジが
本来持つ芳香にある。焼いて一番旨いのはモモから下〜足にかけての肉で、
焼いたときの香りにはニワトリなどとは比べものにならないほど、食指をそそられるものがある。
また、キジ肉はごぼう、大根、きのこなどとの取り合わせもよく、炊き込みご飯にしても旨いという。
またキジの骨からはコクのあるダシがとれるので一般家庭などでは
雑煮などにも向いているそうである。かつて名古屋のキジ料理店で、キジからとった
ダシ汁で麺をこねたものが「きじめん」と呼ばれていたが、これは尾張の殿様のみに出されていた
城外禁止の料理で、後に名護は北郊の春日井あたりで名物となり、
きしめんの名の起こりとなったのだという。

 フランス料理の中で現在多く使われるキジの料理法はパサつき気味のキジの肉質を補うために
ベーコン、豚の背脂などを混ぜるか巻くかして、あまり煮込まずにさっとローストするという。
また、中国では松の実やネギを加えたキジ肉を豚の網脂で包む。
あとは地域によって、焼くか揚げるか蒸すかの違いのようだ。

 洋の東西と問わず、伝統的に伝わる野生のキジ料理からうかがえることは、キジ肉は
食肉としては脂肪が少ないこと、もうひとつは野生キジの腸の持つ香りを珍重して食するか、
臭みとして排するかに大別されるということのようだ。

 今日では養殖のコウライキジにまであえて腸の香りを求める人はいないし、
屋外飼育したものには多くの調味料を必要としない飽食の時代にあって家畜や家禽に
あき足らず野生の香りを求めてやまない人々の期待には応えられるということであろうか。






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